屋根塗装で使用するタスペーサーの効果と施工方法。従来の縁切り方法との違い

投稿日:2023年1月29日  更新日:2023年5月26日

屋根塗装には縁切りという工程があります。スレート(商品名だとコロニアルやカラーベストがあります)は屋根材の重なりにある隙間が小さいため、塗膜で密閉しないように縁切りが必要です。

 

縁切りは屋根からの雨漏りを防ぐための大事な工程です。縁切りは従来のやり方だと塗装後に皮すきやカッターなどで塗膜に切り込みを入れて隙間を設けていました。しかし、この方法だと塗装や屋根を傷つけるだけでなく、手間がかかって時間やコストがかかっていました。

 

そこで登場したのがタスペーサーです。

 

現在では、タスペーサーを使用して縁切りを行うのが一般的になりました。

 

本日はタスペーサーの特徴やメリット、施工方法などをお伝えしていきたいと思います!

 

【タスペーサーの効果と従来の縁切り方法の違い】

屋根塗装で使用するタスペーサーの効果と施工方法。従来の縁切り方法との違い

タスペーサーは平べったいポリカーボネイト樹脂製の部材で、屋根の隙間に差し込んで使います。タスペーサーの厚みは2mmでして、差し込むことでタスペーサーの厚み分屋根材が浮き、屋根に侵入した雨水を外に逃すことができます。

 

屋根材が浮くと割れてしまわないか強度を心配されるかもしれませんが、タスペーサーを挿入した状態である程度の荷重を加えても屋根材が破損しくいことが確認されていますので、安全性はちゃんと確保されています。

 

【タスペーサーの効果】

屋根塗装で使用するタスペーサーの効果と施工方法。従来の縁切り方法との違い

タスペーサーは以下の効果があります。

 

・雨漏りを防ぐ

・内部結露を防ぐ

・美観性を損なわない

・屋根や塗装を傷つけない

・工期を短縮できる

・コストを抑えられる

 

【従来の縁切り方法との違い】

屋根塗装で使用するタスペーサーの効果と施工方法。従来の縁切り方法との違い

従来の縁切り方法は、塗装後に皮すきやカッターで塗膜に切り込みを入れて隙間を設ける方法でした。

 

この方法の欠点は、

 

・数百枚の屋根材に手を加えないといけないこと

・塗装した屋根を移動すること

・人の手で行われるため精度が安定しないこと

・太陽の熱で塗膜が溶けて隙間を埋めてしまうこと

 

などがありました。

 

タスペーサーの登場により上記の欠点は解消できるようになり、現在では縁切りをタスペーサーで行うのが一般的になりました(今でも従来の方法で縁切りをすることがあります)。

 

従来の方法では時間がかかり、かかった時間だけコストがかかっていましたが、タスペーサーは部材を屋根材に差し込むだけで縁切りが行えるため、工期短縮・コストの軽減になります。また、塗膜が安定しない数日間もタスペーサーがあるため、隙間を埋めることがなく、品質も安定しています。

 

縁切りが必要な理由については「スレート屋根の塗装は縁切りがあるか見積もりをよくチェック!」で詳しく解説しております。良ければこちらもご覧ください。

 

【タスペーサーの施工方法と取り扱いの注意】

屋根塗装で使用するタスペーサーの効果と施工方法。従来の縁切り方法との違い

塗装は正しく施工しないと塗膜の剥がれにつながります。とくに屋根塗装は雨漏りを起こすリスクがありますので、施工方法をよく理解して行わなければいけません。タスペーサーも施工方法をメーカーが指示しておりますので、規定通りに行う必要があります。

 

【タスペーサー「縁切り工法」の道具や部材】

タスペーサーを使用した「縁切り工法」は、2回目以降の屋根塗装のための道具や部材も用意してあります。

 

エスパッターという道具は、2回目以降でタスペーサーを挿入しにくい時に使用する道具です。

 

タスペーサーにも「手差し用」「屋根の劣化が進行している用」の二つが用意されています。

 

屋根の状態に見合うタスペーサーで施工が可能です。

 

【タスペーサーの施工方法】

屋根塗装で使用するタスペーサーの効果と施工方法。従来の縁切り方法との違い

タスペーサー演技履行ほうは以下の流れで行います。

 

1:高圧洗浄

2:下塗り

3:タスペーサー挿入

4:中塗り〜上塗り

5:塗装完了

 

タスペーサーは屋根材の左右15cmほどのところで2箇所挿入します。1㎡あたり約10個前後使用するのが目安です。

 

【タスペーサーの取り扱いの注意】

タスペーサーを使用するときは取り扱いの注意があります。

 

一つ目はシーラーやプライマーなどの下塗りはしっかり乾燥させてから挿入するように明記されております。塗膜が形成されていないとタスペーサーが抜け落ちる原因となります。

 

二つ目は水性・弱溶剤型の塗料を使用することです。タスペーサーの取扱説明書では強溶剤型の塗料は使用しないように注意書きされています。

 

三つ目は3寸勾配未満の屋根にはタスペーサーを使用できないことです。勾配とは屋根の傾斜のことで、緩い勾配の屋根は台風や強風で雨水が入り込み雨漏りを起こす可能性があるため、タスペーサーの使用は避ける必要があります。

 

また、アスファルトシングルにタスペーサーを使用することもできません。

 

4つ目は隙間が4mm以上ある場合はタスペーサーを使用できません。スレートが経年劣化すると反りが出てくるところがあります。タスペーサーを差し込んでも密着性が悪く抜け落ちる可能性があります。

 

タスペーサーについてはこちらの「タスペーサーの重要性 ~雨漏りから屋根を守る、タスペーサーとは」でもお伝えしております。良ければこちらもご覧になってください。

 

【屋根塗装をする時は見積もりをよく確認しましょう!】

屋根塗装で使用するタスペーサーの効果と施工方法。従来の縁切り方法との違い

屋根塗装を行うときは縁切りが行われているか必ず確認しましょう。

 

縁切りの方法は必ずしもタスペーサーでなければいけないというわけではありません。屋根の状態やご予算などによっては従来の方法で縁切りが行われることもあります。

 

縁切りについては見積書に記載されていることが大切です。従来の方法で行うのか、タスペーサーを使用するのか、縁切り方法が見積もりの内訳に書いてあるか確認しましょう。もし、縁切り方法が書いてない場合は、指摘して追記してもらうことが大切です。

 

縁切りについてはこちらの「下地調整の重要なポイント5 縁切り作業」もご参考にしてください。

 

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